~ たまには羽目を外したい!2 ~
<魔王編>翌朝・・・
魔王 「・・・・・・っ、頭が痛い、飲みすぎたか・・・ここは?」
見慣れぬ部屋の光景と頭痛に混乱していると、腕の中の存在が身じろぎをした・・・誰か一緒に寝ている!?
勇者 「う~~・・・もうちょっと寝かせて・・・」
魔王 「なっ!これは・・・確か、勇者芸人!」
頭痛とパニックでまともに働かない頭を落ち着かせて、状況を把握しようとする。
確か、昨日は誰にも干渉されずに羽を伸ばしたい・・・と"詮索されない街"と言われる街に行った・・・魔王のモノマネ芸人と思われ、多少はからかったり話しかけたりする者は居たが、"魔王様"として扱われる事は無く、久しぶりに気持ち良く飲む事ができた。
そして勇者のモノマネ芸人と意気投合し、調子に乗って"竜殺し"を頼んだ所までは覚えているが、その後の事が思い出せない・・・・・・。
しかし、この状況・・・
・・・いや、お互い服を着ているし、記憶が無くなる位に飲んだのだから、それどころではなかった・・・とは思うのだが・・・はっきり言って何もヤッていないと自分を信じろ・・・と言う方が無理だ!
・・・まあ、自分の城に連れ込まなかった・・・だけでもマシな状況だろう。
部下共にこんな光景を見られたら、
「魔王が勇者をお持ち帰りした!」
という噂で盛り上がるに決まっている、連中の口には身も蓋もない、噂が勇者の耳に入る頃には"MP消費無しで攻撃力2倍"のスキルが身に付く位に物凄い尾ひれがつくだろう。
勇者 「う゛、」
魔王 「おい、大丈夫か?」
勇者 「あたま痛い・・・気分悪い・・・」
魔王 「典型的な二日酔いだな・・・水を飲んで寝ていればいい、今日は急ぎの仕事はあるのか?」
勇者 「しごと?・・・ない」
魔王 「・・・それはそれで大変だろうが、今日は寝ていると良い、これからは飲むときは限度を超えないようにすることだ」
勇者 「初めてだったから、限度なんて分からない・・・楽しかったから、調子に乗っちゃったけど、どの辺が限度なんだろう?」
魔王 「お前は昨夜のことを覚えているのか?」
勇者 「どういう事?」
魔王 「いや、なぜこの部屋に居るのか、記憶が・・・」
勇者 「う゛~~、お兄さん覚えてないの?転移魔法で帰ろうとして、舌噛んで失敗しちゃったから、ベッド半分貸してあげたんだよ」
・・・自分で城に帰れなくて子供にお持ち帰りされたのか・・・
どうやら、勇者芸人は飲んでも記憶は飛ばないタイプらしい、子供相手に確認を取るのも情けないが、このまま逃げる訳にもいかないだろう。
魔王 「とっ、ところで、昨夜は何かあったのか?」
勇者 「何かって?・・・色々あったけど・・・?」
・・・い、イロイロやったのか?
勇者 「お酒飲んで、色々喋って、悪者退治して・・・あと・・・」
・・・そういう事を聞いたわけではないのだが・・・
勇者 「でもお兄さん、ゆうべは凄かったよね、金貨をたくさん広げて"小遣いをやろう"とか言い出すんだもん」
・・・酔っているとはいえ、そんな品の無い口説き方をしたのか・・・。
いや、肝心な事を確認せねば!
魔王 「そうではなくてだな・・・せっ責任を取らねばならぬ事をしたかどうか聞いておるのだ!(早口&裏声)」
勇者 「せきにん~?何をしても自己責任でしょ?この街は?」
魔王 「い、いや、子供に大量に飲ませてコトに及んでいる時点で・・・(モゴモゴ)」
勇者 「何を気にしているか分からないけれど?・・・今はちょっと気分悪いけど、でも楽しかったし、責任をとるとか堅苦しい事は、無いと思うよ」
魔王 「そうなのか?」
・・・そういえば、この年で一人旅して生活費も稼いでいると言っていた・・・子供扱いは失礼だったかもしれない。
それにしても・・・今日ほど、飲みすぎると記憶が飛ぶ自分の体質を恨めしいと思った事は無い・・・どうせなら、"オイシイ思い"位は覚えておきたかった・・・。
悠様から、よもやまさかの贈り物第二弾を頂いてしまいました……!!
何という素晴らしい町でしょうか…!!
お互いを芸人だと思い、会話している二人のやりとりがとても面白かったです~www
愚痴を言い合う魔王と勇者。
時そばネタをさり気無く入れ、それにまんまと引っかかる酔っ払い魔王。
そして最後、素晴らしい勘違いをしたままの魔王……www
読んでいて思わず顔がにやけてしまうような、とても楽しいお話でした~!!
この後、普通にあの街以外で出会ったとしても、
互いを芸人だと認識して、とても楽しいやり取りが発生しそう~…
などど読み終わった後も楽しい妄想が膨らむばかりでした…w
二度に渡る素敵な贈り物、悠様本当にありがとうございました!!!
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